山で友達が一瞬死んだ話

どうも、藤沢です。

 

これは中学3年生の時の話です。

僕は昔から「よく分からない挑戦」が好きで、川を手作りイカダで横断したり、マルチ商法に引っかかってみたりなど、まあ色々してきたわけです。

 

そして今回、中3の15歳という1番脳みそがとろけている時期に「山で野宿してみてぇ〜〜!!」と超とろとろチャレンジを思いつき、早速とろとろ仲間を探し、集いしとろとろ三銃士で「よく分からない挑戦」を行いました。

 

作戦はこうです

「自転車で滋賀県比叡山(家から60kmくらい)へ行き、その頂上でテントを張って寝る」というシンプルイズバカな挑戦です!

そして今回のとろとろ仲間を紹介します。

 

まずは

僕の挑戦の皆勤賞受賞者………米!!!!(偽名)

 

そして

ドライアイのエロ眼鏡…………眼鏡!!!(本名)

 

んで僕。

 

このよく分からない三人で「よく分からない挑戦」をします。

 

 

挑戦当日

とうとう迎えた近年で一番寒いこの日*1に、心と膝を奮い立たせ、自転車をまたぎ、午前7時…出発!!

 

………………………………

 

自転車での移動はクソしんどい以外特に何もないので飛ばします

 

滋賀県に突入し、見えてきた比叡山は真っ白で、すでに疲れ切った心を折る大きさでした、この地点でもう16時を回っていました。

とはいえここで帰ってしまっては意味がない

僕と米と眼鏡は息を整え、入山…!

 

 

登山

五合目地点でもうあたりは真っ暗、体感温度はおそらく0度を下回っていたと思います。

60kmと登山でいじめにいじめた太ももは寒さとは関係なく、震えが止まりません。

ペースも落ち、七合目に突入したころには19時に回り、一面雪化粧になっていました

その中で一番体力のない僕は限界を迎え、米と眼鏡に「帰らん?」と言ってしまいました。

根性だけは人一倍ある僕でしたが、さすがに度が過ぎたしんどさで、米もそれを聞き、安堵しているようにも見えました。

帰るムードの中、一人だけどうやら違う意見を持っている者がいます。

眼鏡です

俺の知っているお前たちはここで諦める人間ではない」彼はこう言います。

僕たちの曇っていた心は光を指し、眼鏡の眼鏡は霧で曇りまくってます

その状況に我々は登山中初めて歯を見せました。

 

 

頂上到着

眼鏡の鼓舞から明らかにペースを上げ、20時、頂上である延暦寺に到着しました!

疲れつくした我々は、寺など興味もなくテントを立てれそうな場所を探します。

 

……………………

 

無え!!!

 

とてもまずいことになってしまいました

寺があるということは神ロード*2もあるわけで、そこにテントを立ててしまえば、我々はおそらく神様の逆鱗に触れてしまいます。

といっても神ロード以外、雪が膝くらいまで積もっているのでとても立てれたものではありません。

 

我々は途方に暮れてしまいました。

いっそのこと宗派を変え、神に反逆を起こすのも一つの手だとは思いましたが、米が「神様助けてください」と言ってしまったためそれも不可能になってしまいました。

 

そんな時にいつも助けてくれるのは眼鏡なんです

豊富な知識と、エロ毘沙門天と言われたほどの性の富を持っている眼鏡はこう言います

おしくらまんじゅうをして、その熱で雪を溶かしてテントを立てよう

何を言っているんだこのエロ眼鏡、僕と米は呆れます。

眼鏡は続いて

おしくらまんじゅうで雪を解かすシーンをエロ漫画で見たんだよ!

 

僕&米「……ハァ?

 

寒さで前頭葉が凍ってしまったんだと思いましたが、なりふり構ってられないくらい寒かったので、おしくらまんじゅうはしました。

 

20時の寺で三人おしくらまんじゅうをする姿は、寺院の梵鐘を撞くお坊さんが108の煩悩を消しているような、そんな感じでした。

しかしやっていることは煩悩本の煩悩行為のため、yes煩悩とno煩悩の擦り合う摩擦で温かくなってきました

 

 

そんなこんなでテントを立てれそうな雪の層が薄い場所を見つけ、そこを拠点としました。

ペラペラのテントを立て、その中にペラペラの布を引き、とろとろの男たちが入ったわけなんですが…

 

激寒!!!!

 

山で野宿はおろか、テント泊すら初めてな我々には想像もつかない寒さでした。

しかし我々もバカではありません、「マグマ」と書かれた業務用のカイロを持ってきていたため、それをすべて使い、暖房代わりにするという算段です。無理でした。

 

米は言います「マグマが全部凍ってんだよ…泣

 

初めて知ったんですが、極寒ではカイロは凍ってしまうようです。

 

知らねぇ~~~!!!

 

本当に震えが止まらない我々は、何かご飯を食べれば少しでもあったまるのではと考え、大量に買い込んだおにぎりを取り出しました。石でした。

 

米は言います「全部冷凍食品みたいになっちまってるよ…泣

 

確かにそうだけど~~~!!!

 

確かに0度以下だったら凍るけども…!!!!

冷静に考えたらわかるんだけども……!!!!

 

何も食えない、寒さはとてつもない、疲れで暖をとることもできない

この絶望的な状況で、すべての元凶である僕は「降りる?」と提案しましたが、この暗さで降りたところで待ち受けているのは遭難だけです。

三人で話し合いをした結果、ここで夜を明かすという判断になりました。

のちに知ることにはなるんですが、ここでの判断が我々の命運を分けていました。

 

 

テント泊

ここからは耐えることしかできません。

寝たら死ぬのでお互い起こし合いながら、昔話をして少しでも体を温めながら、夜を明かします。

しかしやはり体は疲れているのでたまに寝てしまいます。

そのたびに打ち上げられたマグロのようにピチピチと体が震え、そして起こされる。

この繰り返しです。

 

……………

 

朝の4時を指したころ、僕は回線なんて通っていないスマホを触っている眼鏡に問います

「今何時?」

 

「……………」

 

返事がなかったため、時間をおいてもう一度問います

 

「今何時?」

 

「……………」(パタ…

 

 

倒れた!!!!!!

 

 

眼鏡がスマホを触っている形そのままに倒れました、眼鏡の眼鏡も吹き飛んでいきました。そしてそのままピチピチと震えながら寝ています。

普通の人間ならここで「大丈夫か!?」なんて声をかけるんでしょうが、我々は森羅万象の苦痛を与えられていたため、そんな正常な判断はできません。

 

「あー死んじゃった」

 

感情のないやばい人間兵器みたいなことを呟いた米も、そのまま寝てしまいました。

 

ここで僕が起こさなければいけない、起こさなければ全滅してしまう。

起こさないとダメなのに………

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

「………っ!!!」

 

 

まさかの寝てしまっていたんです。

 

僕は何とか生きていました。

 

米は!?眼鏡は!?

 

テントを見渡しても誰もいません。

 

凍って割れてバラバラになってしまったんだ…とおもったんですが、遠くから僕を呼ぶ声がします、米です。

 

「まじ、はよ、こっちきて」

 

なんだか焦っているがそのベクトルは不安ではなく希望の何とも言えない感情の米をみて、急いでテントを出ます。

 

「やばない?」

 

そう言った米の言葉は右から左へ、僕の心はその絶景に奪われていました。

琥珀色の雲を突き抜けた山々が我々を圧倒するようにそびえたっているんです。

頂上に着いたときは暗くてよく見えなかったんですが、こんなにも美しい絶景と添い寝していたのだと実感したときの心の震えに比べれば、昨日の寒さでの震えなど毛でもないと感じました。それは嘘です。毛です。剛毛です。

 

眼鏡もその光景を見ていたんですが、彼は笑みを浮かべていました。

彼の眼鏡越しの景色は何を映し出しているのか僕は知る由もありませんが、一つだけわかるとするのなら、彼のドライアイは完治したでしょう。

 

 

絶景は我々を1時間ほど震わせていました。

 

 

……………

 

 

 

下山

降りているときに気づいたのですが、地面が凍っており、とってもつるつるです。

その横は崖になっているようで、そのつるつるに足を持っていかれ崖に落ちるというギミックのようです。マリオのステージみたいですね。

 

もし我々が下りる判断をしていたら、おそらく崖に落ちゲームオーバーになってしまっていたのだろうと思うと、マジで怖いです。

 

降りている最中に僕は言います

 

「眼鏡、お前昨日死んだの覚えてる?」

 

すると眼鏡はこう言います

 

「うん、一瞬死んだ!」

 

 

やっぱり!!!

 

 

やっぱり死んでました!

でも死に対する恐怖がなさすぎて、ルフィみたいだなと思いました。

 

 

2時間ほどで下山し、そして60kmのコースを死に物狂いで漕ぎます。

自転車での移動はクソしんどい以外特に何もないので飛ばします

 

 

 

帰り

帰りに近所のスーパー銭湯によりました。

疲れ、冷え切った体でお風呂に入るときの気持ちよさは例えようがありません。

全身がトワイライトヒールされていくのを感じます。これのために体をいじめているまであります。

 

ちなみに余談なんですが、眼鏡は銭湯の時、眼鏡を外すんですが眼鏡を外しているときを「修正版」、眼鏡をしているときを「無修正版」と使い分けているようで、憎悪の気持ち悪さを持ち合わせています。

 

銭湯から上がり、コーヒー牛乳を一気飲みします。

 

僕&米&眼鏡「うっめえぇ~~~!!!!

 

中学三年生の僕たちはとんでもないことを成し遂げてしまったのだと思いながら、帰宅しました。

その時の我々の顔は、おそらく一番かっこいい顔でした。

 

 

そして解散し、僕の「よくわからない挑戦」の幕を閉じたのでした…

 

 

 

*1:当時の1月

*2:参道の真ん中